コラム
実家リノベってどうやってやるの?ポイントと実例をご紹介します
こんにちは。地元豊橋、豊川で増改築リフォーム専門店を営んでいるありがとうの家です。
最近、増えてきている実家リノベですが、実際にはどのような点に気をつけて進めれば良いのでしょうか。
今回は、実家リノベを考えるときのポイント、実家リノベの実例、実家リノベのメリットをご紹介します。
1.実家リノベを考えるときのポイント5つ
実家リノベを考えるときに、ぜひ検討してほしいポイントを5つご紹介します。
1-1.耐久性
築年数の経った建物は、屋根裏や床下などの見えない部分を含めた建物全体の耐久性を、しっかり考える必要があります。
土台や柱が劣化していたり、シロアリの被害があったりすると耐震強度が下がるため、大きな地震があったときの倒壊リスクが高まります。
せっかくお金をかけてリノベーションするのですから、事前に必ず建物全体の点検を行い、必要に応じて補修や補強を行うようにしましょう。
また、1981年以前に建てられた建物は、建築基準法が改正される前の旧耐震基準で建てられている可能性があります。
この場合、耐震強度が不足している可能性があり、補強が必要となるかもしれません。
耐震強度が不足しているからといって、必ずしも倒壊するというわけではありませんが、建物の耐久性にも関わる重要な部分です。
天井の補強や柱、基礎、土台の一体化工事により、さらに安全性を向上させることができます。
1-2.バリアフリー
二世帯で同居する場合などは特に、バリアフリー化を検討しておくことをおすすめします。
今は元気でも、将来、足腰が悪くなったり車いすが必要になったりした場合に、またリフォームをしなければならなくなるからです。
バリアフリー化の例として、駐車場から室内までの段差の解消や手すりの設置、トイレや浴室のドアを引き戸にしておくことなどがあります。
細部までバリアフリー化を意識しておくことで、スペースをゆったり確保できるだけでなく、年齢を重ねても暮らしやすい住まいとなります。
なお、畳をフローリングやクッションフロアに貼り替えることで、汚れに強くなりお手入れも楽になります。
さらに、段差を解消することによって、お掃除ロボットが移動しやすくなる、というメリットもあるようです。
1-3.将来を見据えた間取り
リノベーションは、建て替えよりも費用を抑えられますが、それでも多額の費用が必要となります。
そのため、今後なるべく増築や再リフォームが必要とならないような間取りを考えておくことが大切です。
例えば、二世帯での同居を想定せずリノベーションした場合、介護などで二世帯での同居が必要になったときに、部屋数が足りなくなってしまいます。
もちろん想定外のこともありますが、無駄や後悔をなるべく防ぐために、次の点について家族と詳しく話し合っておきましょう。
【実家リノベで話し合っておくこと】
・今後暮らす年数
・マンションや介護施設へ引っ越す可能性
・二世帯で同居する可能性
・相続した後の用途(自宅、賃貸、売却)
1-4.快適性
築年数の古い木造住宅は、断熱性が低いことが多く、光熱費が多くかかったり冬のヒートショック現象が起きやすかったりします。
このため、実家リノベでは、室内の快適性についてもしっかり対策や改善をしておきましょう。
内装を張り替えるタイミングであれば、補修せずに断熱材を追加できます。
床下の断熱材の入れ替えや床暖房を入れるのも効果的で、他にも、発泡ウレタンで気流止めを施すと、すきま風をしっかり防げます。
さらに、サッシを断熱タイプに交換したり、窓ガラスが一枚板の場合には、断熱性の高いペアガラスや二重サッシにしたりするのも効果的です。
断熱リフォームやペアガラスの設置には、補助金を利用できることも多いので、ぜひ検討してみてください。
なお、音楽鑑賞などの趣味を楽しむスペースや、庭などに子どもと遊べるスペースをつくることも、快適性を上げることにつながります。
1-5.デザイン性
せっかくリノベーションをするのであれば、日々の生活が楽しくなるようなデザイン性も取り入れたいものです。
高価な建材を使ったり、細かな装飾を施したりしなくても、少し工夫するだけでおしゃれなデザインの住まいをつくることができます。
将来、二世帯住宅や賃貸、売却を考えている場合には特に、おしゃれなデザインにしておくことで、次に使う世帯にも受け入れられやすくなります。
2.実家リノベの実例
ここでは、実家リノベのさまざまな実例をご紹介します。
2-1.築60年の昭和レトロな家
祖父から受け継いだという、築50年の昭和レトロなお宅の事例です。
昭和レトロな雰囲気自体は気に入っているものの、間取りが使いづらいとのことで、子どもが増えたことをきっかけに、リノベーションを決意されました。
これまでは、リビングとして使っていた和室とキッチンが離れていたため、廊下を通って行き来していました。
この使いづらい間取りを解消するために、和室二部屋をつなげて大空間のLDKにし、その中心にキッチンを設置しました。
こうすることで、料理をしながら子どもを見守ることができます。
リビングの奥にはカーペットのスペースを設け、引き戸を閉めると寝室としても使えるようにしています。
他にも、玄関土間から水回りへ直接出入りできるようにし、子どもが帰ったらすぐに洗面所で手を洗ったり、お風呂に入ったりできるようにしました。
リノベーションによって広くなった土間では、DIYを楽しんだり、自転車の保管や手入れをしたりもされているそうです。
この玄関土間は、昔の面影を最も色濃く残した部分で、今ではなかなか手に入らないレトロな照明は、綺麗にしてそのまま再利用しています。
また、クローゼット近くの壁には補強下地を入れ、好みのフックをつけてコートやカバンをかけるなど、好きなように使えるようにしました。
受け継いだ住まいを、このように自分たち好みにカスタマイズできるようにするのもおすすめです。
2-2.築28年の二世帯住宅
築28年の二世帯住宅で、建て替えも検討しましたが、思い出の詰まった住まいをリノベーションすることを選択された事例です。
耐震面の不安と冬の寒さ、増改築を重ねた使いづらい間取りの解消を希望されていました。
まず、それぞれ分かれていたリビングとダイニングを、和の趣をそのままに一部屋にしました。
ダイニングの壁には、これまで使われていた飾りを再利用し、間接照明を取りつけています。
床は、すでにある家具の色に合わせて落ち着いた色合いの無垢材を採用し、床暖房を入れて快適性を高めています。
庭を眺めながら料理をしたい、という希望に合わせてキッチンは庭側へ移動し、耐震強度に配慮しつつ庭側にできるだけ大きな窓を取りつけました。
家の中で最も古い広縁と応接室は、寒さ対策として窓ガラスを複層ガラスに替えるだけにとどめ、あとはそのままの雰囲気を残しています。
2-3.築47年の二世帯住宅
両親から受け継いだ築47年の二世帯住宅を、建て替えるか悩んだ末にリノベーションした事例です。
2匹の愛猫の世話がしやすく、友人も呼べるような住まいを希望されていましたが、二世帯住宅の広さをどのように使うかが課題でした。
将来のことを考えて、1階をメインの生活場所として間取りを再構築し、リビングにはウッドデッキとパーゴラを設置して庭の風景を楽しめるようにしました。
元の雰囲気を残しつつ、耐震補強や収納の造作をして、これからも安心かつ快適に暮らせる住まいになっています。
2-4.築37年の空き家
この事例では、築37年の空き家になっていた実家をリノベーションして、賃貸から移り住むことを選択されました。
細かく仕切られた昔ながらの間取りだったこの住まいは、狭さと収納不足が課題でした。
まず、1階のキッチンを2階へ移動し、2階の仕切りをすべてなくしてLDKにしています。
キッチンはあえて壁づけにして空間をより広く使えるようにし、床にはパインの無垢材を貼りました。
窓の位置や大きさは、隣の家と目線が合わないように計算して取りつけています。
階段は、傾斜がゆるやかになるように架け替えつつ、リビング、ダイニング、キッチンがゾーンで分かれるようにし、スペースを最大限に活用しています。
こうすることで、家族構成の変化に合わせて、使い方も変えられるのです。
さらに、小屋裏の空間に収納用のロフトを設け、玄関にも一段上げた土間スペースを設けてシューズクロークにしました。
土間スペースには、ベビーカーやアウトドア用品などが収納でき、可動棚も造作して家族の靴がたくさん入るようにしています。
2-5.築48年の二階建て住宅
受け継いでからしばらくはそのまま暮らしていた築48年、2階建て住宅の事例では、自宅で仕事ができるようリノベーションしました。
1階の玄関横に仕事のスペースを設け、その奥を寝室にすることで、子どもの様子を見ながら仕事ができるようになっています。
個室が並んでいた2階は仕切りをなくし、1階にあったLDKを2階へ移動、天井も上げて開放的な空間を実現しました。
2階のリビングは、屋根と壁に断熱材を入れて、気密性の高いサッシに交換、床材は床暖房に対応したオーク三層無垢材です。
キッチンカウンターの側面には、アカシアのフローリング材を使ったマガジンラックを設けました。
3.実家リノベのメリット
実家リノベをすることによって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
実家リノベのメリットを7つご紹介します。
3-1.建て替えよりも費用を抑えられる
現状の建物の構造部分を活かせるリノベーションは、建て替えより費用を抑えられるのが大きなメリットです。
老後を考え、リノベーションで費用を抑えて、資金を残す選択をされる方が増えています。
3-2.愛着のある住まいをそのまま残せる
思い出の詰まった愛着のある住まいで、そのまま暮らし続けられるのもリノベーションの魅力です。
ヨーロッパでは、何世代にもわたって住まいを受け継いでいきますが、いずれ日本もそうなっていくかもしれません。
例えば、子どもの身長を記録した柱を装飾の一部としてあえて残すなど、いつまでも思い出を感じられる住まいをつくることができます。
3-3.両親と二世帯で暮らせる
今後、両親が高齢になっていく場合には、リノベーションによって二世帯住宅にすることで、両親をより近くで見守ることができます。
老人ホームや介護施設は空きが少ないことから、両親との同居に対して補助金を用意している自治体も多くあります。
また、土地の購入費用がいらず、新築ほど費用もかからないので、その分、設備や内装にお金をかけて住みやすくすることも可能です。
3-4.賃貸にはない広さや庭がある
実家リノベのメリットとして、賃貸にはないゆったりとした広さがあげられます。
また、専用の庭があることで、景色を楽しむことができるのも嬉しいポイントです。
3-5.耐久性や快適性を高められる
現に実家に住んでいる場合や、そうでない場合でも、築年数が古くなると老朽化によって耐久性に不安がでてきます。
しかし、リノベーションによって耐久性を高めておくことで、その不安がなくなり、すでに実家に住んでいる場合には快適性も向上させることができます。
3-6.住み慣れた地域で暮らせる
実家がある場所は、多くの場合、長年住み慣れた地域でしょうから、その住み慣れた地域で暮らせることもメリットの一つです。
近くに住む知り合いや、長年つき合いのあるご近所の中で暮らせるのは、まったく新しい土地で暮らすよりも安心感があるでしょう。
3-7.相続時などの税金を抑えられる
リノベーションではなく建て替えの場合、建物の評価額が上がるため、固定資産税や将来の相続税が高くなります。
一方で、リノベーションでは基本的に税金が上がらないため、定期的に支払う税金や相続面で有利になるのもメリットです。
また、良いタイミングでリノベーションしておけば、建物を良い状態で保てるので、売却や賃貸といった相続後の選択肢も広がります。
4.まとめ
実家リノベを考えるときには、耐久性、バリアフリー、間取り、快適性、デザイン性について検討しておくと良いでしょう。
このように、さまざまな点を考慮しておくことで、より長く安心かつ快適に過ごすことができます。
また、実家リノベは、費用面以外にも多くのメリットがあるので、ぜひその点もふまえて検討したいものです。
(株)ありがとうの家 代表 塩川昌志(二級建築士)